第5章:認知症の兆候と向き合い方
〜「うちの子、ちょっと変かも?」と思ったときの正しい対応〜
▶犬にも「認知症」があるって知っていましたか?
人間の高齢化と同様に、犬の寿命も延びている現代。
15歳以上まで生きる犬も珍しくなくなった今、「犬の認知症」というキーワードも徐々に知られるようになってきました。
私が初めてその言葉を意識したのは、愛犬レオ(ミニチュアダックス)が13歳になった頃。
夜中に理由もなくウロウロ歩き回ったり、トイレの場所を間違えることが増え、「なんか様子がおかしいな…」と感じ始めたのがきっかけでした。
それでも「年のせいだろう」と見過ごしていた私。
しかし、動物病院で言われたのは**「認知機能障害(CDS:Cognitive Dysfunction Syndrome)」**という診断でした。
▶犬の認知症の代表的な症状5つ
認知症の兆候は、**「行動の変化」**として現れることが多く、以下の5つが代表的なサインです。
① 夜鳴き・徘徊が始まる
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理由なく夜中に鳴く・遠吠えする
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同じ場所をグルグル歩き回る
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昼夜逆転の生活リズムに
✅体験談:
レオも、夜中2時〜3時に「ワン!ワン!」と突然吠えるようになり、寝不足の日々が続きました。
最初はトイレの失敗かと思いましたが、実は「不安」「混乱」「孤独」が原因だったようです。
② トイレの失敗が増える(場所がわからない)
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何度もしつけたトイレを忘れる
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排泄を認識する感覚が薄れる
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フローリングや寝床でしてしまう
③ 無反応・ぼーっとする時間が増える
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名前を呼んでも反応しない
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飼い主の顔を見ても無表情
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家族を認識できないことも
④ 意味のない行動を繰り返す
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何もない壁をじっと見つめる
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同じルートを往復する
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食後すぐにまたごはんを欲しがる(記憶の消失)
⑤ 性格が変わったように感じる
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急に怒りっぽくなる/逆に無気力になる
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甘えん坊になる/そっけなくなる
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不安が強くなり、常に落ち着かない様子に
▶「老化」と「認知症」の違いとは?
多くの飼い主が、「年だから仕方ない」と見過ごしがちですが、老化と認知症は違います。
| 老化 | 認知症 |
|---|---|
| 徐々に進行する | 急激に行動が変わることもある |
| 生活リズムは一定 | 昼夜逆転、混乱などが顕著 |
| 認識力は比較的ある | 名前や家族を忘れることがある |
認知症は、脳神経の変性疾患です。放置すると進行が早まり、犬自身の生活の質(QOL)を著しく下げてしまいます。
▶早期発見で進行を遅らせることは可能
残念ながら、現時点では犬の認知症を完全に治す治療法はありません。
しかし、早期発見と適切な対応によって、進行を遅らせることはできます。
私のレオも、夜鳴き・徘徊・トイレの失敗が増え始めた頃から、「脳のサポート」に特化したケアを取り入れました。その結果、1年以上、穏やかな日常を保つことができました。
▶認知症ケアの基本3原則
① 環境を整えて「安心」をつくる
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毎日同じ時間に起きる・寝る・食べるリズムを保つ
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家具の配置は変えない
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明るすぎず、暗すぎない照明(夜間は足元ライトも◎)
② 適度な刺激を与える(脳トレ習慣)
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簡単な遊び(おやつ探し・引っ張りっこなど)
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ゆっくりした散歩
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声かけ・スキンシップで「存在」を認識させる
③ 脳の健康をサポートする栄養やサプリ
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DHA・EPA(魚油)
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MCTオイル(ココナッツ由来の中鎖脂肪酸)
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ビタミンE、アスタキサンチンなどの抗酸化成分
💡レオにはMCTオイルを毎朝のご飯に数滴混ぜて与えました。
2週間ほどで、徘徊の頻度が目に見えて減ったのには驚きました。
▶夜鳴き対策で試して効果があった5つの方法
夜鳴きは飼い主にとって、体力的にも精神的にも最も辛い症状です。
私が実際に試して効果があった対処法をご紹介します。
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寝る前に軽く散歩する/遊ぶ(疲れさせる)
→適度な運動で深い睡眠を誘導 -
寝床に湯たんぽや重みのあるぬいぐるみを置く
→不安感を軽減、安心して眠れるように -
音楽を小さく流す(クラシック、自然音)
→静寂が逆に不安を増幅する犬もいます -
アロマやCBDなどの自然系リラックス法を試す
→特にカモミールやラベンダーが効果的でした(※香りには個体差あり) -
ナイトルーティンを固定化する
→「21時に電気を暗くして、マッサージして、おやすみ」といった習慣化が安心感に繋がります
▶介護する側の心のケアも忘れずに
認知症の介護は、長期戦になります。
寝不足、無力感、イライラ…どんなに愛していても、「つらい」と感じる瞬間は誰にでもあります。
大事なのは、「完璧な介護をしようとしないこと」。
少しでもできていれば、あなたは十分頑張っています。
✅ 私が助けられたもの:
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同じ悩みを持つ人のSNS投稿
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ペット介護のオンラインコミュニティ
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動物病院での定期相談(雑談でもOK)
1人で抱え込まず、「言葉にする」「頼る」ことが最も大切なケアの1つだと、私はレオとの日々を通して実感しました。
✅この章のまとめ
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犬にも認知症がある。早期発見とケアがQOLを大きく左右する
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夜鳴き、トイレ失敗、徘徊、性格の変化が初期兆候
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環境づくり・脳の刺激・栄養ケアで進行を緩やかにできる
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介護する飼い主自身も「頑張りすぎず、頼る」ことが大切