老犬介護がつらいのは、あなたのせいじゃない
はじめに:老犬介護がつらいのは、あなたのせいじゃない
老犬介護で一番しんどいのは、体力よりも 「何が正解か分からない状態」 です。
ネットを見れば情報は山ほどある。でも、今あなたの目の前にいるのは“うちの子”で、状況は毎日変わる。
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昨日は食べたのに今日は食べない
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夜中に鳴く、徘徊する、寝てくれない
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トイレが間に合わない、片付けが追いつかない
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仕事も家事もあるのに、心が休まらない
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「私のせいで苦しんでるのかな」と責めてしまう
まず言いたいのはこれです。
介護がつらいのは、あなたが弱いからじゃない。仕組みがまだ整ってないだけ。
介護は“頑張り”ではなく、**「配置」と「優先順位」と「記録」**で楽になります。
今日は、介護が始まった(もしくは始まりかけている)人が 最初に整えるべき7つ を、できるだけ具体的にまとめます。
全部できなくてOK。1つだけでも進めば、明日が変わります。
老犬介護:最初に整える7つ
①「優先順位」を決める:まずは命に近い順
介護の判断は無限にあります。だから先に、優先順位を固定します。
優先順位(基本)
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呼吸・意識・強い痛み(最優先:異変なら病院)
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水分(脱水は悪化が早い)
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食事(食べられる形を探す)
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排泄(清潔と快適)
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眠り(体力回復と介護者の休息)
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体を動かす(できる範囲で)
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生活の質(その子の“好き”)
迷ったら「水分」「痛み」「呼吸」に戻る。
この軸があるだけで、検索地獄が減ります。
②「介護スペース」を1箇所に集約する:介護は導線が9割
介護が始まると、家が散らかります。散らかると心が削れます。
そこで、最初の改善はこれ。
介護スペースを“1島(ワンアイランド)”にする。
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寝る場所
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トイレ(またはおむつ替え)
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拭く・ケアする道具
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ゴミ箱(フタ付き)
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交換用のタオル・シーツ
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水、フード、薬
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介護記録(メモでOK)
「全部ここにある」に寄せると、夜中の対応が短くなり、あなたの睡眠が守られます。
介護は睡眠が守れた人から勝ちます(本当に)。
③「滑り」と「床ずれ」を今日から潰す:事故と痛みを減らす
老犬の生活の敵は2つ。転倒 と 床ずれ。
転倒は一回でガクッと状態が落ちることがあるし、床ずれは“じわじわ痛い”が続いて、食欲や睡眠に直撃します。
今すぐできること
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フローリングに滑り止め(マット・カーペット・滑り止めワックス等)
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体が当たる場所は「柔らかい面」に(厚手のマットや低反発など)
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同じ姿勢が続く子は、体位変換を“無理のない範囲で”
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赤みが出やすい場所(肘・腰・かかと周りなど)を毎日チェック
※皮膚が赤い、ただれている、臭いが強い、痛がる…は獣医に相談案件です。
④「排泄」を“責めない仕組み”にする:片付けの難易度を下げる
トイレ問題は、介護者の心を折りやすいです。
だからここは精神論じゃなく、片付けの難易度を下げるのが先。
おすすめの考え方
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失敗をゼロにするより、掃除がラクを目指す
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叱らない(老犬は“学習”より“不安”が強くなる)
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トイレの回数より「失敗時の被害」を小さくする
被害を小さくする具体策
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防水シーツ+上に介護シーツ(交換しやすい2層)
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拭く道具は近くにセット(ウェット/タオル/袋/消臭)
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おむつは“完璧に漏れない”より“肌を守れる”優先
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お尻周りのかぶれを予防(蒸れ・摩擦・汚れを減らす)
あなたが楽になると、結果的にその子も安心します。
介護って、回り回ってそういうものです。
⑤「食事と水分」を“勝ちパターン化”する:迷わないルールを作る
食べない日、飲まない日。焦ります。
でも焦ると、手が増えすぎて疲れる。だから先に「勝ちパターン」を作ります。
食事のルール(例)
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まずは“匂い”と“温度”を調整(少し温めるなど)
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形状を変える:硬い→ふやかす/細かくする/ウェットへ
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一度に食べさせない:少量を回数で稼ぐ
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食べる姿勢を整える:首が上がりすぎない高さに
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誤嚥が心配なら「舐める」「とろみ」へ寄せる
水分のルール(例)
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飲むが難しいなら、飲ませるより“摂取”
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ふやかしごはん、スープ、ゼリー状などで総量を稼ぐ
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目安や病気によって制限が必要な場合は獣医へ確認
ここは病歴(腎臓・心臓など)で前提が変わります。
だからこそ、次の⑥が効きます。
⑥「病院に聞くこと」を固定する:不安を減らす質問テンプレ
診察で頭が真っ白になるの、あるあるです。
なので、テンプレを持っていきます。
獣医に聞く質問テンプレ(メモして持参)
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今いちばん優先すべき課題は何ですか?(痛み/水分/栄養/睡眠など)
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家で観察すべき“危険サイン”は?
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食事は何をどれくらいを目標にする?(病気別の注意も)
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水分は制限が必要?必要なら上限と方法は?
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痛みがある場合:痛み止めの選択肢と副作用、様子見基準
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夜鳴き/徘徊がある場合:原因候補と対策、薬の選択肢
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次回受診までに記録してほしい項目は?
病院は「判断の材料」をもらう場所。
あなたは「日常の観察」を持っていく人。
この分業ができると、介護がぐっと安定します。
⑦「介護記録」を“3行”でいいから始める:変化に気づける
介護記録は、完璧にやる必要がありません。
むしろ、続かない形にすると損です。
今日からの3行テンプレ
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食事:食べた量(ざっくりでOK)
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排泄:尿/便の回数と状態(色や硬さが気になればメモ)
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変化:いつもと違うこと(夜鳴き、歩き方、呼吸、元気など)
たった3行でも、1週間後のあなたを助けます。
「昨日と違う」が言語化できると、病院相談も早く、的確になります。
ここまでのチェックリスト(保存推奨)
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優先順位(痛み/水分/呼吸)を決めた
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介護スペースを1箇所に寄せた
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滑り止め or マットで転倒リスクを下げた
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排泄の片付け難易度を下げた
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食事・水分の勝ちパターンを作った
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病院で聞く質問テンプレを作った
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介護記録を3行で始めた
最後に:介護は「うまくやる」より「続けられる形」が正解
老犬介護は、完璧を目指すほど苦しくなります。
大事なのは その子の安心 と あなたの持続可能性。
今日ここまで読んだあなたは、もう十分やっています。
あとは、仕組みを一つずつ整えるだけ。
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