第3章:食事・栄養管理で寿命が変わる!
〜「何を、どう食べるか」で老犬のQOLは劇的に変わる〜
▶老犬の「食」は健康の命綱
愛犬が歳を重ねるにつれ、「食べない」「食べムラがある」「飲み込むのが遅い」といった悩みが増えてきます。
私のミニチュアダックス、レオも13歳を超えたあたりから、ドライフードをあまり食べなくなりました。食べる意欲はあるのに、口に入れてすぐにポロッと出してしまう。原因は「噛む力の低下」と「においの感じ方の変化」でした。
人間と同じように、犬も歳をとると消化機能・嗅覚・味覚・筋力が衰えます。
それにより、これまで食べていたフードを急に食べなくなったり、偏食になったりするのです。
では、老犬にはどのような食事管理が必要なのでしょうか?
ここでは「食べることが健康になる」老犬の栄養戦略を解説していきます。
▶老犬に必要な栄養バランスとは?
老犬には、若いころと異なる栄養設計が必要です。特に重要なのは次の5つ。
① タンパク質:筋肉維持と免疫力の要
-
加齢によって筋肉量が減少し、関節や内臓機能も低下します。
-
老犬こそ、**質の高いタンパク質(動物性)**をしっかり摂取する必要があります。
💡選び方のポイント:
-
鶏肉、魚、卵など消化に優れたタンパク質が◎
-
「高タンパク低脂肪」の記載があるフードを選ぶ
② 脂質:エネルギー源だが量に注意
-
脂質は大切なエネルギー源ですが、代謝が落ちる老犬には過剰摂取=肥満のリスクになります。
💡対策ポイント:
-
オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)を含むサーモンオイルや亜麻仁油は、皮膚や関節の健康にも効果的。
③ 食物繊維:腸内環境と便通のサポート
-
老犬になると腸の動きが鈍くなり、便秘や下痢を繰り返すことがあります。
💡おすすめ食材:
-
さつまいも、かぼちゃ、おから、寒天など水溶性と不溶性のバランスが良いものを。
④ ビタミン・ミネラル:体調維持と老化防止
-
特に注目すべきは、ビタミンE、C、亜鉛、セレン。これらは抗酸化作用があり、老化の進行を遅らせます。
⑤ 水分:命に直結する最重要項目
-
老犬はのどの渇きを感じにくくなり、自発的に水を飲まなくなる傾向があります。
-
脱水は腎臓に大きな負担を与えるため、水分摂取を工夫することが命を守ります。
▶老犬フードの選び方:ポイントと注意点
市販されているシニア用ドッグフードは非常に多く、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
以下の3つを基準に選ぶと、愛犬の状態に合ったものを見つけやすくなります。
✅1. 年齢だけでなく「体の状態」に合っているか?
例:
-
腎臓が悪い → 低リン・低たんぱくの腎臓用フード
-
肥満傾向 → 低脂肪・カロリーコントロール食
-
関節に不安 → グルコサミン・コンドロイチン配合食
✅2. 原材料がシンプルで無添加に近いもの
-
「副産物」や「〇〇ミール」が主原料のものは避けましょう。
-
「チキン」「サーモン」など、明記されたたんぱく源を選ぶのが理想。
✅3. 香りが強く、嗅覚の衰えた老犬にも食欲を刺激できるか
-
ウェットタイプや手作り風レトルトは、においが強く嗅覚の弱った老犬に好まれます。
-
少しレンジで温めると香りが立ちやすくなり、食いつきがUPします。
▶どうしても食べない時の対処法
老犬になると、1日1〜2食しか食べられない、または丸一日食べないこともあります。
でも、以下の工夫でかなり改善できるケースが多いです。
✔️少量頻回食にする
→1日2回ではなく、4〜5回に分けて与える
✔️食感を変える
→硬いドライフードはふやかして柔らかく
→ウェットやスープにとろみを加えると飲み込みやすくなる
✔️味をトッピングで調整
→無塩の煮野菜・鶏ささみ・ヨーグルトなど、トッピングで食いつきUP
✔️環境を見直す
→食器の高さを調整する(首や腰の負担軽減)
→静かな場所で、落ち着いて食べられるようにする
▶手作りご飯という選択肢も
老犬のために「手作りごはん」を始める方も増えています。
レオも晩年は、ドライフードと並行して、手作りスープご飯を週に2〜3回食べていました。
簡単レシピ例:鶏むね肉と野菜のやわらか煮
-
材料:鶏むね肉・にんじん・かぼちゃ・キャベツ・水
-
作り方:
-
材料を細かく切る
-
鍋で柔らかくなるまで煮込む
-
常温に冷ましてから与える
-
💡味付けは一切不要。シンプルな味でも、老犬にとっては十分美味しいのです。
▶サプリメントは使うべき?
高齢犬用のサプリメントは、関節・目・心臓・脳機能など多岐にわたります。
代表的な成分と効果:
| 成分 | 期待される効果 |
|---|---|
| グルコサミン・コンドロイチン | 関節の柔軟性維持 |
| DHA・EPA | 認知機能の低下予防 |
| ルテイン・ビルベリー | 目の健康維持 |
| プロバイオティクス | 腸内環境の改善 |
ただし、サプリは補助的なもの。基本はあくまで「バランスの取れた食事」です。
✅この章のまとめ
-
老犬には「高たんぱく・低脂肪・低リン・高水分」の栄養バランスが理想
-
嗅覚・噛む力が衰えるため、香りと食感の工夫が重要
-
「食べない」には必ず原因がある。観察→対処で改善できる
-
手作りやサプリメントは、愛犬の状態に合わせて柔軟に取り入れる